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No.2 子どもを持ち、働くということ〜危機とする保育園の現状〜

近年、多くの女性が、子どもを持ちながら働いている。理由は様々であろうが、子育てをしながら働き続けるということは、並大抵のことではない。たとえ自身が納得した上で「子どもを持ち、働き続けること」を選択したとしても、特に子どもが小さいときなどは、自身の体験からも言えることだが、それはしんどい道のりである。確かに近年「男女共同参画社会」をうたう流れは強くなってきているものの、現実は、いまだ、家事・育児の負担が女性に重くのしかかっているというのが現状と言えよう。

女性が子どもを持ちながら働き続けるには、強力なサポートが必要なのは言うまでもない。そのサポートは時に、配偶者/パートナーであったり、親類縁者であったり、友人であったりと様々だが、こと日中の大半を過ごすことになる『保育園』という存在は大きなものだ。自分の命より大切な子どもを預ける場所は、親である自分自身が納得し、安心して預けられる場所でなければならないのだ。

保育園は、子ども達が朝からお迎えが来る夕方〜夜まで一日過ごす場所となる。おやつやお昼ご飯を食べ、思いっきり遊び、眠る。保育園という環境は、園長をはじめとする多くの経験豊な保育士さんがいて、給食を作ってくださる方達がいて、栄養士さんや看護婦さんなどのプロがいて、成り立っている。保育園は単に「子どもを預ける場所」以上の意味を持つ、子どもにとって、大切かつ安全な場所だ。また働く親にとっても、肉体的・精神的に強力なサポートであることは言うまでもない。

だが、今その保育園が変わろうとしている。国の三位一体改革の政策一つに、補助金削減(一般財源化)案というものがある。保育園運営費の国庫負担金が廃止され、その代わりに各自治体へ「一般財源」として一定の金額を支払う。 各自治体は、今までのように「保育」に掛ける予算を確保する必要はなくなり、「一般財源化」することにより、その使い道は各自治体に任される。言うなれば、そのお金を 各自治体が自由に使うことができるようになるわけだ。結果、保育園運営費予算の縮小が起こることも考えられる。 現に、公立保育園の運営費の国庫負担金廃止後、相当数の自治体で、保育園に掛ける運営費予算が減らされた、という報告がある。

*「一般財源化」とは・・・国から地方自治体へ、使い道を限定して渡されていた補助金(国庫負担金)を廃止し、使い道を限定せずに渡される一般財源(地方交付税など)に含めること。

*「三位一体改革」とは・・・地方治自体の自己決定、自己責任の幅を広げ、住民ニーズにそった地方行政を行なうという、地方分権改革を目指す指針 (上記定義/「保育園を考える親の会〜つうしん〜」より)


これは、公立保育園だけの問題だけでなく、私立保育園も例外ではないのだ。このような状態で、「良い保育」が確保されるのは相当難しくなると言えよう。言い換えれば、保護者の実質的な保育料の負担増だけでなく、子どもにとって安全で安心できる場所を確保すること自体、難しくなってくるかもしれないのだ。(ちなみに、三位一体改革による「一般財源化」の波は、保育園だけでなく、義務教育課程の学校などへも影響されることとなる。)

例えばこういうことだ。保育園運営費の予算がカットされるとどのようなことが起こるのか?下記にほんの一例だが挙げてみた。

○保育園で保育に必要なもの(保育材料や備品など)を購入したいと思っても、その予算が限られてしまっているゆえ、購入費をカットせざるを得ない=買えない。

○新規職員の採用を抑制し、その代わりにパートや契約保育士を増やす、結果、正規保育士への負担が増し、その分子どもへの負担も増す。また経験の浅い保育士を増やし、正規の職員を減らすことにより、「安全性」への疑問も出てくる。

○現行の保育料を値上げする=親の経済的負担も増す。


つまりは従来通りの「質の良い保育」を確保すること自体、難しくなってくるということだ。

なぜ、このようなことが起きなければならないのか?昨今の流れは“少子高齢化”で、現在の数少ない子ども達は、今後ますます高齢化してゆく社会を背負っていかなければならない。よりによって、その、これからの世代を担う子ども達に“しわよせ”が行くなんて、起こってはならないことではなかろうか?まして「命」を預かる「保育所」という場所で・・・。子どもだけは私たち大人が守らなければならない。今後の政策にまつわる一部の「大人の理論」のみで、子どもの成長を妨げたり、安全性を確保できなかったりするべきではない。

私自身も現在二人の子どもを認可保育園へ通わせている。一人は来年卒園するのだが、長男が入園して以来、保育園運営費のカットの波は徐々に浸透しているような気配を肌で感じてき た。自分の子どもがいるからのみで、保育園の危機を訴えているわけではない。女性が働き続けるとき、もし子どもに恵まれたとしたら、「保育園」という場所は、どの女性にとっても身近な場所となってくるのだ。大事な子どもを預ける場所に、親である私たちが不安を感じてしまうということ自体、大きな問題なのだ。自分が働いているとき、安心して子どもを預けられる場所があるからこそ、私たちも仕事に精を出し、身を入れることができる。その保育園が、そのような場所でなくなったら・・・?考えただけでも身の縮む思いだ。

子どもを守るために、次世代を担うこれからの子ども達の未来を守るために、一部の人たちだけに政策を任せずに、私たち一人ひとりに出来ることがきっとあるはずだ、と思う。

(2004年11月11日)

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